シンプルさを貫いた、アンパンマンの正義とは

こんにちは
居酒屋BARオーナー電脳せどらー
ハイボール飯島です。

 
先日、やなせたかしさんの生誕100歳記念として「勇気の花がひらくとき　やなせたかしとアンパンマンの物語」と題したアニメが放送されていて、なんとなく見てしまいました。

それは生い立ちからアンパンマン誕生までを振り返った内容で、戦争の話もあるせいか、全体的にしっとりした流れでした。

やなせさんは94歳で亡くなられましたが、このように生誕100歳記念番組が放送されるのは、「アンパンマン」を世に残したという偉大な功績があるからなのでしょう。

やなせさんが創り出した「アンパンマン」という正義の味方。

それは敵をやっつける派手なヒーローではなく、おなかがすいた人を助けるという、実にシンプルな正義です。

誰かを助けたいと思うとき、自分も傷ついてもいい。本当の勇気が湧いてくるんだ。

それが自分への幸せにもつながる。

と、アニメの中で言っています。

考え方は決して難しいことはなく、だれにでもできそうな身近なこと。

身近な人をどうしたら助けることができるか。そして幸せにできるか。

実はずっとシンプルなことなのかもしれません。

では、やなせさんの歩んだ人生からどのようにして「おなかがすいた人を助ける」正義にたどり着いたのでしょうか。

絵を描くことがよりどころとなった少年時代

少年時代から、やなせさんにとって絵を描くことは無くてはならないものでした。

育ての親にも遠慮がちで、中学生にもなると自分より上に感じる弟にも劣等感を抱き、やりきれない気持ちを紛らわせてくれたのが絵を描くことでした。

中学校（今では高校に当たる）卒業後は美術学校にも進学しています。

戦争で味わう空腹

戦争では武器を持つことはなく、紙芝居を作って日本の正義を伝えたり、食料を貯蔵するという任務についています。

倉庫には沢山の食べ物が積まれていくのに、その食べ物は自分達には与えられません。

食べられない苦しさを味わうのでした。

生きて、自分にできること

日本の敗戦後、帰国した後で弟の戦死を知ります。

お互い軍隊となりそれぞれ戦地に出征していましたが、途中偶然会った弟は、死をすでに覚悟していました。

やなせ先生に「生きて絵を描いて欲しい」という言葉を残していきました。

最初は、自分だけ生き残る意味、亡くなった弟の代わりができるのか、ずっと考えていました。

そして、学校で教育された「戦争は正義」だったことが、戦争に負けることにより覆され、何が正義なのかわからなくなりました。

簡単には覆らない、本当の正義とはなんだろう･･･。

戦争中食べることができなかった苦しさ、それを助けてほしいと思った。

やなせ先生自身の体験から、「おなかがすいた人を助けること」は万国共通の正義であること、覆らない正義である、というところにたどり着いたのです。

そして、弟の遺言ともいえる、絵を描くことで人の役に立つことを考えたようです。

子供の心をしっかり掴んだアンパンマンの正義

漫画家になっても、しばらくは売れなかったのですが、漫画を書くことを諦めずに続けました。

正義のヒーロー「アンパンマン」の話を持ちかけましたが、ヒーローとはレーザー光線とかの武器を出し敵をやっつけるもので、おなかがすいている人を助けるヒーローは大人には全く受け入れられません。

それでも、子供向けの絵本「アンパンマン」が出版されました。

おなかがすいている人たちに自分の頭をちぎって分けてあげるという内容です。

この絵本は子供たちの心を掴んだのです。

こうして、子供たちに不動の人気を誇る「アンパンマン」が誕生したのでした。

今ではアンパンマンの人気の理由について、丸で書かれている顔がわかりやすくて良いとか、ばいきんまんと戦う定番な内容が良いなど、色々あるようですが、この絵本がなければ、アンパンマンは日の目を見ることはなかったのです。

アンパンマンのテーマ曲も、戦争で亡くなった弟のことを思ってできた詩。子供向けとは言えません。

歌詞のことを聞かれると、やなせ先生は「真剣に伝えれば子供はわかってくれる」と回答しています。

シンプルな考えを信念に築き、それを貫いたやなせ先生が、アンパンマンで実を結びました。

自分にできる正義って素晴らしいですね！